Copy of Y

あれも確か冬のことだったと思う。
全日本プロレスがうちの田舎に巡業してきた。
武藤敬司体制だったから、もう一昔前である。
試合開始前、「客をあっためる」ため、リングに私服の大和ヒロシが上がった。

「得意のモノマネをやります」

と言って披露したのが以下の三品。

 『ヤッターマン』より、ボヤッキーのマネ。「ポチッとな」。
 『ゲゲゲの鬼太郎』より、一反もめんのマネ。「鬼太郎ど〜ん〜」。
 『ドラゴンボール』とり、ナレーションのマネ。「ごくう〜まかせたぞ〜」。

どれも良く似ていたのだが、冷静に考えると、

八奈見乗児のモノマネしかしていないんじゃないか。

調べてみたら、彼はモノマネのレパートリーを50種類くらい持っているらしい。
それなら何故、ここ伊那谷では八奈見乗児攻めだったのか。
田舎には「電波を受信する設備がない」と思いやって親切にしてくれたのだろうか。
それとも、同じ「や」で始まる名前に格別の感慨があったのだろうか。
真相は深い藪の中である。
プロレスをあまり見なくなって数年経つが、大和選手は元気に頑張っているらしい。
冬になると、彼のあのモノマネを思い出す。
試合内容はすっかり忘れたが。
しかし、この寒冷地まで来て裸で殴り合う職業を選ぶモチベーション、というのも謎っちゃ謎である。

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