夜が好きだ、と言ったのはいつだったのか、それが何故だったのか、わからない。
夜はたのしい。
夜には、思うままに You tube を観たり、Apple music を聴いたりできる。
夜を、だから嫌いだと思う。
午後八時。川柳を書いていたら、ちーさんが「ヨーグルトかぼちゃを作りたいと思わない?」と訊いてきたので、返事をした。「思わない」。実際作りたいと思わなかったので仕方がない。
その五分後、句作に行き詰まって、ラグビーの表彰式を観ていたら、
「う る さ あ あ あ あ い っ ! ! !」
とちーさんに怒鳴られた。
「はあ・・・・・・」という反応しかそのときはできなかったのだが、どうも釈然としないので、ふて寝をしている彼女に訊いてみた。
「なんで、あそこまで怒鳴られなきゃならなかったの?」
「だから
(中略)
なの」
としか書けないが、彼女のトラウマが甦ってしまったらしい。
夜になると、ちーさんはいつも辛そうだ。
夜になると、ちーさんはいつもちーさん自身をいじめる。
夜になると、ちーさんは。
だから僕は、夜が嫌いだ。
だから僕は、夜を好きだと、もういちど言ってみたい。
「せめて恋人を抱いて、もうこのまま死んでもかまわないっていうような夜があって。天の一番高い所からこの世を見おろすような一夜があって。死ぬならそれからでいいじゃないか。」(中島らも『今夜、すべてのバーで』)
僕もちーさんも、まだ、そんな夜を知らない。
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