「ヒラリマント」に泣く。
いつからだったかは覚えている。
40年近い昔、リアルタイムで映画『ドラえもん のび太の恐竜』を観たときだ。
物語の山場、ドラえもんが「ヒラリマント」という、闘牛士がモチーフなのだろうが、何でもはね返すマントをふりかざし、悪漢たちの光線銃を蹴散らしていたのだった。
そのドラえもんが「ヒラリマント。ヒラリマント」と言っている情景で、僕は泣いた。
ドラえもん、なんだかきみのことを思うと、せつなくて泣けてくるよ。ドラえもん、こんなに頑張っているんだな、ドラえもん。
よくわからない思考回路だが、思ってしまったものは仕方ない。
「反発」という現象に、じぶんの理由なき反抗期を重ねたのであろうか?
しかし小学一年生ならまだしも、この歳になって、スマホに映る「ヒラリマントー」で号泣するというのは、どうも不気味らしい。
というより、歳を重ねれば重ねるほど、ヒラリマントへの感傷が深くなる。
歳を取るということは未来に向かっているということで、ドラえもんの生まれた「未来の世界」に近づいているからかもしれない、という謎理論をとりあえず仮説にしておく。
ちなみに、初期大長編ドラえもんでは、かなりの確率でドラえもんがヒラリマントを使用している。ここぞ、という時に出てくるので、忘れている人は要チェック。但し泣けるかどうかは保証しかねるし、僕も『のび太の恐竜』以外では泣いたことがないのだった。
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