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例えば、内田百閒の話をしよう |
十一月十八日
朝、千春さんが「この曲いいでしょ」と男性ボーカルを流している。
「え、誰の歌?」
「わからない? かんだしょうぐん」
「しょうぐん……。いたっけそんな歌手」
「えー、最近結婚して話題の人だよー。かんだしょうぐん」
「あのな。あの人は菅田将暉って言うんだよ」
彼女はいつも真剣だからおそろしい。
だがこれは笑い話で笑い飛ばせる話ではないのであって、仮面ライダーW(煽ってるようにしか読めんなこのタイトル)の時、いったい僕たちは「すだまさき」と読めたのか。読めまい。
僕が菅田将暉を菅田将暉として認識できるのは、「運が良かった」だけにすぎない。あらゆる知識・教養・才能と呼ばれるものの大部分は、この「運」だ。
だから本当に僕らが「何かを知っている」と言えるためには、「何かを知らない」ことへの恐れを恐れつつ恐れないことではないかと思うのだ。
僕はソクラテスが嫌いだ。だから無知の知なんて言いたくない。
僕が憧れるのは、全く動じずに「かんだしょうぐん」と言ってしまえるような人だ。そこには、無知さえも無い。
かんだしょうぐん、素晴らしい芸名ではないか。菅田将暉くんもこれを機に改名してはいかがだろう。しないですね。
これとは関係なしに脳髄が酷く疲れて、被害妄想的になる。仕事ふらふらで行く。帰ってきて、千春さんとスターバックスに行く。草履の鼻緒が痛いと千春さんは言っていた。僕は目が虚ろ。似た物夫婦。そう言えばもうフルムーンパスが使えるのだった。Twitterもブログ更新もできないまま、『ダークナイト』途中まで観て眠る。途中起きて #さみしい夜の句会 に投稿。また眠る。
しゅうまいの分解写真ねらう賊 大祐
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